1776 奈良県吉野・秘境大杉谷〜大台ケ原縦走

期  日:2021年10月22日(金)〜24日(日)
天  候:3日間とも晴れ
参加者;男性2名、女性6名 計8名
費  用: 42,500円
コース: 22日 東京--名古屋--伊勢松阪 東横イン伊勢松阪駅前 18:00集合(泊)
     23日 伊勢松阪駅6:48--三瀬谷7:42/7:50(ジャンボタクシー)--大杉谷登山口9:10/9:20
         --千壽滝前休憩所(ランチ)11:20/11:40--シシ渕11:55/12:00--平等ぐら吊橋13:05/13:10
         — 桃の木山の家14:00(泊)
     24日 桃の木山の家6:30--七ツ釜滝休憩所7:00/7:10--崩壊地8:00--堂倉滝8:55/9:00
         --シャクナゲ坂--シャクナゲ平11:30--日出が岳(ランチ)12:15/12:55
         --大台ケ原ビジターセンター13:35/13:45(タクシー)--近鉄大和上市駅15:15/15:41
         --橿原神宮16:29/16:39--京都17:55/18:33(ひかり)--東京21:12/21:20--浦和21:45

 1日目(22日) 
 大杉谷峡谷への拠点となる紀伊本線、伊勢松阪駅前の東横インに各自集合となった。大杉谷峡谷は関西屈指の秘境、7つの滝と11の吊橋を歩き、 原生林の森を抜けて百名山の大台ケ原山までを2日間で歩き登る山行に期待がふくらむ。

 2日目(23日)
 東横インからすぐの伊勢松阪駅から三瀬谷駅へ。ジャンボタクシーに乗り大杉谷登山口へ渓谷に沿って向かう。 途中下車し六十尋(60ヒロ)滝を見学し登山口に到着する(因みに,尋とは滝の長さで1.5mのこと)。
 歩き初めからすぐに大日ぐらという高さ110mの巨大な一枚岩が迫り、岩壁をえぐり抜いて造られたスリル満点の登山道が続く。 鎖があるのが有り難い、なかったら絶対に危険過ぎる。だって幅50cm位の滑りやすい岩の道で鎖の反対側は絶壁!遥か下にはエメラルドグリーンの渓流が流れるが、 緊張の連続で初めのうちは、美しい景色も見る余裕なし、だが、そこは山男、山女の集団、段々と緊張の中にも景色を愛でる余裕が出てくる。 次々と現れる吊橋はしっかりした橋ではあるが、歩くとかなり揺れ、下を見ると足がすくみそうな高さだったが、これも段々と慣れ、渡りながら周りの景観を愛でたり写真を撮ったりと余裕の面々だった。
 千尋滝に着きしばし休憩、ランチとなる。 千尋滝は大杉谷の滝では最大の落差135mの美しい巨瀑である。さらに進んでいく中、風が強くなり岩壁から小石が落ち、私のヘルメットに当たった。 小石程度の大きさかと思ったが、後を歩いていたメンバーが「握りこぶし大だった」と言ったのを聞き、ヘルメットの大切さを実感!  こうしてヘルメット隊8名は大岩の間をくぐる「くぐり」という所を通りシシ渕に到着した。岩肌にはダイモンジソウがたくさん咲いていた。 シシ渕はエメラルドグリーンの水面が神秘的で周囲を絶壁に囲まれ、奥にはニコニコ滝が見える超絶景スポットである。
 さらに進み平等ぐらに着く。垂直の断崖絶壁に圧倒される平等ぐら吊橋からはニコニコ滝の流れ落ちる上部が見られた。次々と現れる滝、岩壁、渓流、吊橋などの景観や自然に圧倒されながら、 歩を進める中、7番目の吊橋を渡ると前方に今夜の宿、桃の木山の家が見えた。全員無事に着くことが出来て本当に良かった!山小屋は緊急事態期間解除、土曜日のせいか、かなり混んでいた。

 3日目(24日)
 桃の木山の家を6:30に出発する2日目は標高1200mを登るコースである。出発して30分で七ツ釜滝に着く。滝が数段に分かれる日本の滝100選に入る名瀑である。美しい滝をバックに皆で写真を撮る。 七ツ釜吊橋を渡り進むと巨岩が集まった場所に出た。
 ここは崩壊地と呼ばれ2004年の台風により山肌が崩落し家一軒ほどの無数の巨岩で埋め尽くされた場所である。10年間もの間、登山道は通行不能だったが、2015年に開通となり、このトレイルが可能になった。 私達より少し前方の巨岩の上を登山ツアーの集団が歩いていたが、まるでアリンコの行列のようだった。大自然の中で私達人間は本当に小さな存在だと感じた。
 さらに進み、堂倉滝、堂倉吊橋に着く。堂倉滝は水量豊かで広い滝口と滝壺が印象的だった。この滝を最後に山の中へと入っていく。出発から約3時間半で堂倉避難小屋に到着。 ここからは尾根歩きではあるが、岩の急登もあり、シャクナゲ坂では長い長い木段を登り、さらに急登が続く。
 やがてシャクナゲ平に入る。周囲はその名の通り、シャクナゲがいっぱい、花の時期はまた素晴らしいだろう。
 最後の急登を登りきり標高1695mの大台ケ原山(日出が岳)に登頂することが出来た!皆、2日間の険しいコースを歩き、登りきった達成感で皆でハイタッチ! 山頂からは熊野灘が見渡せ、周囲の山々の展望も素晴らしかった。ランチタイムの後はビジターセンターへ向け下り、予定通りのタイムでタクシーにて大和上市駅へと向かい帰路についた。
 全長16km 標高差1200m 日本の中に美しさと険しさを合わせ持つこんな秘境があったなんて、この神域とも思われる秘境に来れたことは決して忘れることのない思い出となった。 この貴重な山行を計画し導いて下さったKリーダーには本当に感謝です。そしてサポートして下さったリーダー、サブリーダーに感謝、この感動を共有出来たメンバー達にも感謝です。たくさんの感動をありがとうございました。

(W   記)





東横イン伊勢松阪駅前、期待に胸膨らむ。


大杉谷登山口途中、立寄りの60尋(60ヒロ)の滝。
まだノーヘル。



大日嵓(ダイニチグラ)を過ぎ、吊り橋と鎖が
連続する。(嵓とは、絶壁のデッカイ岩のこと)


地獄谷吊り橋で、こんな吊り橋を11本渡る。


千尋滝の休憩スポットにて。(1尋とは、滝の長さの
単位で、1.5m)



これから「くぐり」(岩の重なりをくぐる)を通るよ。


デッカイ岩の下、しずくが絶え間なく上から落ちて くる。
冷たいと言いながら渡った。



くぐりの近く、湿った岩肌で見かけた
「大文字草」



淵のくぐりを過ぎたところで、パチリ!


平等嵓吊り橋の真ん中で振り返る面々。右に直角の
絶壁の平等嵓が聳える。



この桃木吊り橋の前方に今夜の宿“桃木山の家”が
見える。



秘境唯一の山小屋“桃木”電機もねえ、テレビもねえ、
携帯電話も通じねえ、低い天井の3Fで8人雑魚寝。


100名滝に選ばれた“七つ釜滝”数段に分かれた
滝と滝壺が連なる。


2004年の台風で山肌が崩落した“崩壊地”を行く。遙か前方に
かすかにツアーの行列がアリンコのように見える。

水量豊富な大杉谷を代表する滝“堂倉滝”広い滝口と
滝壺が特徴。


堂倉滝吊り橋を渡り終え、滝を背景にパチリ。

桃木山の家から標高差1200m強を必至で登り切った大台ケ原の
日出が岳(1695m・百名山)山頂。達成感の笑顔のクライマー8。
 
       €