S-23 秩父/四阿屋山から三合落と両見山

2012年3月25日(日)

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 はじめに
四阿屋山から両神山へとつながる尾根上の1115.1メートル三角点峰は、多くの案内書やホームページにおいて「両見山」と記載されている。しかしながら、地元旧両神村では、両見山は浦島集落にある金剛院西方の748メートル峰を指すとされ、金剛院の遥拝所であるこの両見山からは、かつて尾根伝いに両神山へと向かう修験の道が開かれていたという。そしてその途上にある1115.1メートル三角点峰は、地元では「三合落」と称されている。そこで本稿では、地元の呼称を尊重して、それらの山名を記載することとする。
 上尾駅西口を6時に出発して、順調に四阿屋山登山口の菖蒲園駐車場に到着した。四阿屋山までは、一般のハイキングコースである。指導標が完備され横道にも行先が書かれているので迷いようのない感じである。道も遊歩道然としており、手入れが行き届いている。→
 途中で、菖蒲園からさらに伸びている林道を横ぎり、福寿草園にでる。ちょっと花の数が少なくて、寂しい感じだ。さらに登ると、両神神社に到着する。↓
 ここから頂上はもうすぐ上なのなのだが、かなり急な斜面となっており、ここからの直登は禁止であった。登山道は頂上を南に巻きながら、ぐんぐんと登っていく。ずっと鎖が連続してかかるが、足元にさえ気をつけていればさほどの危険はない。だがもし凍結していたりすればかなり危険な感じだ。滑ればただではすまない。↓→
 菖蒲園から1時間あまりで四阿屋山頂上についた。頂上は狭く、周囲が切り立っているので休むにも注意が必要だ。一段降りたところに木製のベンチがある。直登コースから上がるとこちらに出てくるようだ。←
 頂上からは一部潅木が切り開かれて、両神山や二子山がよく見える。今日辿る尾根もずっと見晴らすことができる。←↓
 さて、ここからが今回のメインである。頂上を少し南に戻った地点から、西に伸びる尾根に入る。出だしから急峻な岩尾根で、北側を巻く踏み跡があるのでそちらに入るが、落ちたらお陀仏さまな道である。ちょっと先が思いやられる。↓
 と思いきや、尾根を進むと潅木と植林の中に踏み跡が伸びており、快適な縦走になる。結構登り下りがあるが、下草もなく実に歩きやすい。一ヶ所、急坂で直接稜線に上がることができずに、トラバースして小尾根に取り付きその尾根を登るところがあるが、ここにも踏み跡があった。時に二重山稜のような尾根を気分よく歩いていく。←
 あとは忠実に稜線を辿り、986m峰に到着する。←↓
 ここからはもう1115.1m三角点峰「三合落」は目の前である。少し下降すると、小さな祠があった。何となくこの峠を越えているような踏み跡もあり、浦島と川塩を結ぶいにしえの路なのかもしれない。↓
 三合落に登りはじめるすぐ手前にも小さな祠がある。踏み跡には三合落を南に巻いていくような感じのものが交差している。→
 ここからは実に急な斜面を、潅木や木の根に掴まりながら頂上へと直登していく。程なく三角点だけが寂しく鎮座する三合落頂上に着いた。↓
 さてここからが苦難の道のりであった。頂上の北峰から、北に向かう稜線に入るが、ひたすら急な尾根道で、しかも踏み固められていないため、つかむ岩角がぼろぼろと剥がれ落ちてくる。潅木を掴みながら降りるが、掴みたい木に限って枯れて腐っていたりもする。しかももし、滑ったら間違いなく、谷底まで落ちて別の世界へと旅立ってしまう。幾度か「ロープ出しましょうか」とメンバーに問いかけるような激しい尾根だった。↓→
 やがて小広い892m峰に着き、ようやくほっと一息。→
振り返ると三角点峰が小さなこぶのある双耳峰風に見える。山名表示、「三合落」の字面から受ける印象、三つの峰が合わさったような形の山で転げ落ちるように急、まさにそんな感じがする。↓
 ここから先も相変わらずヤブもなく、快適な尾根道になる。両見山を越え、踏み跡はずっと尾根沿いに続いているようであったが、地図にはない新しい林道が尾根を横切っており、ここで山行を終了した。↓→
 あとは林道を下り、浦島集落を抜けて、小鹿野町営バスの走る県道に降りたったが、バスは1時間後ということで、結局朝出発した駐車場まで歩いてしまった。秩父の山は里のすぐ裏山でも侮れない、との思いを深くした山行だった。

(O記