S-20 群馬県央/赤城山スノーシュー

2012年2月5日(日)

黒檜山の登路 霧氷の樹林帯を新雪踏みしめて、黒檜山山頂をめざす


 素晴らしい晴天のもと、一路赤城山を目指す。道すがら、もうすでに周囲は大展望だ。そこで今日はこの晴天に感謝して、赤城山の最高峰、黒檜山に登ることに決める。日本一小さなスキー場という赤城山スキー場の駐車場に車を止め、身支度を整えて、大沼の縁を黒檜山の登山口に向かう。
 例年なら、赤城山の大沼はワカサギの穴釣りで大賑わいのはずなのだが、セシウム汚染がわかって、釣りが禁止されてしまい、湖面には人っ子ひとりいない。
 登山口に着いてさっそくスノーシューを装着するが、周囲の登山者は全員アイゼン装着である。のっけから、急斜面の登行になるが、アイゼン登山者のトレールは、スノーシューにとっては狭くて、時に歩きづらいところもある。しかし、今日のような柔らかい雪では、アイゼンを装着しても、アイゼンの効きは期待できず、ステップが崩れては 滑ったような感じになり歩きづらいだろう。その点スノーシューは、シューの歯が雪面に食い込んでずれないため、うまく体重を乗せることができ、安定して進んでいくことができる。
 登山にスノーシューを使う人は少ないようだが、こんな雪なら、スノーシューの方が断然有利と思う。
黒檜山頂上にて
 頂上は樹木が育って、東側から北側にかけて以外の展望はあまりよくない。だが、目の前の皇海山、袈裟丸山、日光白根山と奥に見える男体山などが素晴らしい。
 そして頂上を通り過ぎて少し下った稜線からは西側の展望がひらける。尾瀬から谷川連峰、草津白根、四阿山、浅間山、八ヶ岳、南アルプス北部、そして浅間と四阿の間にはちょっと霞んでいるが北アルプスの白銀の峰々が見えている。
 素晴らしい展望に、時間を忘れて眺め入る。ふと思う。ここにテント張って、朝な夕なに山を眺め、夜は満天の星を見て過ごすなんてことが、水の心配がないこの時期ならできそうだ。実現の可能性やいかに。
 名残惜しい頂上を辞し、駒ヶ岳に向かう。急峻な下りでさらにトレールが狭いので、スノーシューでは歩きづらい。稜線上では、トレールを外れて、右側の雪面を歩くと、風のせいで雪が締まっているのか、あまり潜らず歩きやすい。駒ヶ岳の頂上からは、この時期ならではということで、鳥居峠方面への稜線をそのまま進んでいく。ツボ足のトレールが続いている。
皇海山と袈裟丸連峰、奥に男体山が見える
ひときわ白い谷川連峰、今日なら谷川岳に登れたね! 上州武尊山と至仏山、燧ヶ岳
 だが、雪があるとは言え潅木の密度はそこそこで、ヤブ漕ぎ状態になってしまうところもある。雪の中のヤブ漕ぎはつらい。結局鳥居峠にはたどり着けず、途中の急斜面を下って、覚満淵に出ることにしたのだが、斜面を降りきっても、鹿よけのネットに阻まれて、覚満淵に出られず、グルッと回ってとうとう車道まで柵沿いに歩かざるをえなかった。かなり消耗した。
 大洞に戻り、活気なく閑散とした土産物屋に、少しお金を落とそうと立ち寄った。青木旅館の若旦那とひとしきり、山談義と赤城山観光振興策を話し合って盛り上がった。「首都圏から一番近いスノーシューエリア」で売り出す作戦らしい。近々、スノーシューの体験ツアーをやるそうだ。ワカサギ釣りができない、この危機的な状況をきっかけに息の長い活性化策をと知恵を絞っているようで、応援したい気分になった。
 赤城山は近くていい山だった。

(O記

浅間山と四阿山の間に白銀の北アルプス