白 花 カ タ ク リ

2020年3月26日(木) 角田山(新潟県) NIKON Df



白花のカタクリには 神秘的な魅力がある。
春の山野草が好きな方には、憧れの存在です。
自生するものは非常に稀で、数万本に一本と言われています。
栽培や写真撮影の対象とする愛好家も多い。

「白いカタクリの花」 は花びらに色素が形成されない(又は極めて少ない)ために白い花を咲かせる白花変種 (白変種※1)です。・・・つまり、カタクリの白花型種(白花種)であり、突然変異やアルビノ(※2)ではありません。

   ※1 白変種(Leucism)
 色素の減少によって 本来の色を失い 白く変化した個体。
 氷河期には保護色となった白変種は、生物が生き抜くためには非常に有利な基本的資質であったと考えられ、生物が白化する遺伝情報は基本的な遺伝子として、生物に脈々と受け継がれている。植物・動物それぞれクロロフィル(葉緑素)メラニン色素、に影響はなく、いたって正常な個体と言える。
 植物においては、主に花びらの色素が減少し、本来は色のついた花を咲かせるはずの種が、花弁に色素が形成されず、白い花を咲かせる。
 動物においては、体表面(体毛、羽毛、皮膚、鱗など)の色素が減少し、白くなる。目は黒くなることも多い。

   ※2 アルビノ(Albino)
 色素に係わる遺伝情報の欠損により、先天的に色素が欠乏する 遺伝子疾患のある個体。
 植物においては、光合成色素であるクロロフィル(葉緑素)が欠乏し、体を構成するデンプンなどを合成できないため致命的である。発芽しても種子の栄養を使い切るとその後の生存率はほぼゼロで枯死する。ただし、糖添加培地や接木など人の手が加わった環境では生育できる場合がある。また、寄生植物にクロロフィルは不要であり生存できる。
 動物においては、メラニン色素が欠乏し、紫外線に弱く皮膚がんにかかり易い、瞳孔で明るさを調節できないなど 病気・障害のリスクが高くなるが、致命的ではない。体色は概ね白色かピンク色であるが、一部の色素が残ることもある。目は赤目となる。

和名:カタクリ 【片栗】
別名:カタゴ、カタカゴ
英名:Japanese Dog's Tooth Violet
学名:Erythronium japonicum Decne
分類:ユリ科 カタクリ属
性状:草丈20cm 多年草(球根)
花期:4月〜5月
分布:北海道〜四国
コメント:山野の林床などに群生する高さ20cmほどの多年草。葉は柄が長く、大きく、長さ10cmほど。へりが多少波形にうねり、表面に紫色の班紋がある。花は紅紫色で、茎の先に1つ付く。早春に、木々が芽吹く前、林床が明るい間に成長し4月から5月に開花し、林床を鮮やかに彩る。時に大規模な群落を形成し、その開花時の光景は見事の一言である。本来の片栗粉とは、このカタクリの根から作った極上のデンプン粉を指す言葉である。現在では片栗粉と言えばジャガイモから作ったデンプン粉が取って代わっている。

                    塩ア 孝壽 会員