ロマネスコ
ロマネスコとフラクタル
塩ア 孝壽 会員

 突然ですがロマネスコと言う野菜をご存知ですか。スーパーなどでもあまり見かけませんがブロッコリーやカリフラワーの仲間で、直径は20cm位になり大型です。写真 1. 写真2. 味も良く似ています。大仏様の頭のような、石油掘削用ドリルビットの先端のような・・・右回りと左回りの渦も見られます。不思議で派手な形をしています。概形は円錐形ですね。近頃の私はその生命活動の60%位を農作業に捧げています(笑)。でも今日は野菜の栽培の話ではありません、この奇妙な形をしたロマネスコに隠された美しい数学の話題です。
 見た目が派手で印象的なロマネスコですが、この見た目が数学的にも面白いのです。結論を先に書きます。フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念、 ”フラクタル構造” 。そしてもう一つ、イタリアの数学者フィボナッチによって有名になった ”フィボナッチ数列” を持っていることですが、今日はフラクタル構造のお話です
 全体を構成している一部(要素)を拡大してみましょう。すると写真3.になります。あら不思議、全体の形とよく似ていますね。これを自己相似性と言います。もう一度写真3.の一部を拡大したのが写真4.です。やはり良く似ていますね。さらに拡大すると写真5.になり、渦巻き型の構造は見られますがそれを構成している要素は球状になり自己相似性がやや崩れてきます。つまり自己相似性は数段階繰り返されて終了します。自己相似性が無限に繰り返される構造を”フラクタル構造”と呼び、ロマネスコの場合、自己相似性は数段階の繰り返しとなっているので ”近似フラクタル構造” となります。
 体積一定の場合表面積が最小となる形状は球体ですがフラクタル構造は逆に表面積最大(無限大)となります。自然に存在するものがこんな特徴を持っているなんて不思議ですね・・・と結んでしまいそうですが実は微生物以外の生物にとってフラクタル構造は ”これがなかったら存在できない ”重要な構造なのです。そのことについてはまた機会が有ったら書きます。

写真 1. 横から全体

写真 2. 上から全体

写真 3. 全体を構成している要素を拡大

写真 4. さらに要素を構成している要素を拡大

写真 5. しつこく、もう一度拡大