743 北アルプス/立山・奥大日岳

8月13~14日(日) やや健脚向き 前夜発

立山連峰 奥大日岳へ向かう稜線から見た朝の立山連峰


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13日
 6時のアルペンルート開門と同時にバスは室堂平へと急ぐ。それにしても大型バス一台の通行料が往復約5万円とは、恐れ入った価格設定である。バスターミナルにほぼ一番乗りして、早速登山の準備をする。山は雲に隠れて姿を見せない。室堂平の遊歩道を、一ノ越に向かって歩き出す。途中、短い距離だが雪渓を登る。振り返るとガスの切れ間に室堂平が望める。
 1時間ほどで、一ノ越に着く。後立山連峰の景観を期待したが、ほんの一時遠くの山が見えたが、すぐにガスがかかってしまい眺望は得られない。
 急な、砕石でがらがらした斜面を雄山目指して登っていく。1時間足らずで神社の社務所が巾をきかす雄山に到着する。500円払って祝詞をあげてもらう。
 ここからは、雄大な北アルプスの山並みを眺めながら、標高3000メートルの稜線を快適に縦走するはずであったが、霧はいよいよ深く、風に揺れる高山植物だけが道連れとなる。
↑遊歩道を一の越に向かって歩き出す
 雄山から、大汝山、富士の折立と快適な稜線を縦走する。途中大汝山の前後で、雷鳥を見掛ける。眺望がない日の、山からのささやかなプレゼントだ。
 相変わらず霧の中を、黙々と歩いていく。それでも時々、さっと霧が薄くなって、雄大な夏山の景色が広がる。
 真砂岳の頂上で、昼食にする。夏ではあるが、霧の中、風が吹いて少し寒い感じがする。再び歩き出し、やがて別山に到着する。ザックをデポし、剣岳の景観が素晴らしいという、別山北峰を往復する。しかしやはり霧は深く、剣岳の姿は望めなかった。
 剣岳の姿をまぶたに浮かべながら、剣御前小屋に向かって下降していく。すると僅かに霧が薄くなり、剣沢と剣岳の八ツ峰がうっすら見えてきた。が、展望はここまでで、剣岳の雄姿は明日までお預けとなった。
↑霧の中、立山の頂稜を行く
 剣御前小屋からは更に稜線を伝い、新室堂乗越まで行って雷鳥平におりる。ゆるやかな道のりではあるが、少々疲れてきた足には、時折見える今宵の宿が、やけに遠く感じる。
 ウサギギクやミヤマキンポウゲそしてチングルマなどのお花畑を横目にしながら、慎重に歩を進めていく。
 やがて新室堂乗越に到着し、あとは雷鳥平目指して急な坂道をおりてゆく。チングルマがたくさんあるが、帯状に花が咲いているところと、すでに綿毛になっているところがあり、不思議な感じである。
 坂道を下りきって、川を渡ると今宵の宿が近づく。雷鳥沢の幕営地を横切り、硫黄の匂いがする雷鳥沢ヒュッテに到着する。建物は相当やさぐれているが、温泉で疲れを癒せる素敵な山小屋だ。
 山小屋で夕食を摂る頃、漸く空は晴れ渡り、立山の姿が夕暮れの空に映えていた。
↑チングルマのお花畑を下山する
14日
 夜明け前、空は星空で、今日の好天を期待せずにはいられない感じだ。
 朝食を弁当にしてもらって、5時にヒュッテを後にする。昨日下りてきた新室堂乗越までの道を登り返す。まだシルエットだが、立山もその全貌を露わにしている。乗越から稜線を歩き始めると目指す奥大日岳は、頂稜だけ雲がかかっている。
 歩みを進めるとついに剣岳の雄姿が我々の目に飛び込んできた。隣には毛勝三山が朝の斜光線に浮かんでいる。やがて奥大日岳にかかっていた雲もとれ、お花畑の縦走路を快適に頂上に向かって歩いていく。
 すると標高を上げるに従って、徐々に遠くの展望がひらけてきた。まずは薬師岳が見えてきた。隣の鋭鋒はなんだろう。槍ヶ岳はまだか。西のかなた、雲海に浮かぶのは白山?山座同定の興味は尽きないが、まずは奥大日岳へと急ぐ。
↑朝の雷鳥沢キャンプ場と立山
↑ついに見えた剣岳の雄姿↑雲の切れた奥大日岳を目指して
 想定していた時刻より1時間近く早く、頂上に到着する。ぐるり360度の展望に、みんな笑顔である。
 槍ヶ岳と奥穂高が見える。薬師岳の左は、笠ヶ岳だ。剣の隣には白馬が見える。近くを見れば、大日岳から富山平野が一望だ。
 ここで記念写真を撮り、ゆっくり休憩した後、名残惜しい山頂を辞す。稜線をたどる帰り道は、登頂の喜びで足取りも軽い。剣岳にも日が当たり始め、一層迫力が増してきた。帰り道は、多くの登山者とすれ違いながら、道を譲りながら、雷鳥平を目指す。昨日、そして今日歩いた山々を眺めながら、さらには素晴らしい晴天に感謝しながら、帰路を急ぐ。
 雷鳥平からは地獄谷経由でバスが待つ室堂平に向かう。亜硫酸ガスの煙にむせながら、遊歩道を歩いていく。やがてバスターミナルに到着し、すべての参加者が大満足な、素晴らしい山行が終了した。
 が、車上の人となった我々を待ち受けていたのは、お盆休みのリターンラッシュであった。高崎、籠原と電車に乗り換える人達を下ろしながら、バスが大宮に到着したのは23時であった。(O記)
↑奥大日岳頂上にて笑顔の記念撮影(写らなかった人若干名)
↑シルエットで浮かぶ剣岳↑名残惜しく奥大日岳を後にする