741 上信国境/浅間山外輪山蛇骨岳~黒斑山

8月6日(土) 一般向き強 マイカー

草すべり 草すべりの急坂を下る


 熊谷駅南口出発7時、2時間少々で車坂峠に到着した。支度を調え、登山開始。
 緩やかに高度を上げていくトーミの頭への登山道に入る。色とりどりの山の花が登山道の周囲を彩っている。多少の上り下りはあるが、順調に高度を稼ぐ。時々日も差して、夏山の気分は全開である。
 途中植栽ではあるが、高山植物の女王「コマクサ」の園地を通る。近くに寄れないのが残念である。
 避難シェルターに登り着くと、そこでは多くの登山者が休憩していた。すぐそこにトーミの頭が見えるが、そこにも沢山の登山者がいる。
 ガラガラした岩屑の道を登るとトーミの頭に着く。ここでしばしの休憩の後、草すべりの急坂を火口原目指して下っていく。
 草すべりはその名の通り、滑り落ちそうな急斜面だが、ジグザグに道が切られて、体感的にはそれほど急な感じはない。周りはお花畑で、思 わず歩みを止めてしまいたくなるような花々の饗宴だ。何か見つけるたびに立ち止まっては花をのぞき込む。名前が分かればもっと楽しいのにと、日頃の不勉強 を後悔する。
 やがて徐々に傾斜が緩やかになり、火口原が近づく。ひとしきり雲が切れて、前掛山が見えてきたのだが、すぐにまた姿を消してしまった。
 ここまで来ると、登山者も少なくなって、静かな山行きとなった。湯の平分岐で昼食にするが、この付近も沢山の花に彩られた楽園であった。
 が、ぱらぱらと小雨が降り始め、メンバーはカッパを着たり、とりあえず傘を差したりして多少なりとも前途に不安を感じながら、道を急ぐ事にした。
 火口原はつま先上がりの緩やかな傾斜で、林床には一見おいしそうなキノコが群生して、一部のメンバーは興味津々であったが、誰にもかじってみる勇気はないようだ。
 一旦雨はあがり、皆身軽になって、快調に広々とした火口原を歩いていく。
 前掛山への登山道も見渡す事ができ、ほんの小一時間後の天候激変をこの時、誰が予想しただろうか。
 Jバンドへの登りを控えて、しばし休憩して鋭気を養った後、外輪山への急な斜面を登り始める。ここも周りはお花畑で、可憐な花に慰められながら、ちょっと疲れてきた身体にムチを打つ。
 登高の最後は高度感のある岩路をトラバースしていき、そして稜線へととび出す。すると稜線では、雨が降り出しており、西側は濃密なガスが立ちこめて、しばしの休憩の間に本格的な雨降りになってしまった。
 さぁ、ちょっと急ぎましょうか、と出発するが、雨は急激に激しさを増し、さらには遠くから雷鳴も轟いてきた。
 晴れていれば、北アルプスかと見まごうアルペン的な稜線も、ガスに包まれたモノトーンの世界では空しくそして何やら危なげに映る。仙人岳の頂上でわずかに休憩しただけで、黙々と今や豪雨で川や沼になってしまった登山道を急ぐ。
 蛇骨岳を過ぎると、樹林帯に入る。そこまでの1時間足らずの時間は、耳をそばだてて、雷との距離を測りなが ら歩いた。我々が樹林帯に入るのを待っていたかのように、雷鳴は頭上に響き渡り、雷雲のまっただ中を濡れネズミになりながら歩き続けた。黒斑山もちらっと 看板を見ただけで通り過ぎ、今朝のんびり休んだトーミの頭に着く頃、ようやく空に明るさが戻ってきた。
 下山は最短コースの中コースをとる事にして、樹林帯の中を下り始める。やがて、雨は上がり、視界も開けてきた。しばらくぶりに、ちょっと落ち着いて休憩して、やれやれといったところ。びしょぬれで泥だらけだけれども、何となく充実感を感じるひととき。
 その後は割とあっけなく、駐車場に降り立ち、身支度を整えて日帰り温泉に向かう。露天風呂からは、浅間山の大パノラマが見えるはずだが、今日はそれもおあずけどころか、再び黒い雲が山々を覆って、またまた豪雨になっていそうな景色であった。(O記)