710 秩父・熊倉山

4月2日 本部合同

 東日本大震災の影響で、交通機関が不安定な状態でしたが、秩父鉄道はほぼダイヤ通りとの情報にて山行を行いました。ただし、池袋からの西武線直通は運休でしたので、遠くからの参加者や、幾度も乗り換えを余儀なくされる参加者はキャンセルされ、本部会員の参加は半減してしまいました。

白久駅9:15ー9:42林道登山口9:50ー14:00熊倉山山頂14:15ー16:15城山林道登山口16:25ー17:05白久駅

 白久駅に集合した支部会員6名と本部会員7名は、秩父盆地を囲む山々の中では屈指の登り甲斐のある熊倉山へ、意気揚々と出発しました。ただ、少し気になったのは、山体の北斜面がかなり白く見えることでした。
 やがてメンバーは林道コース登山口から本格的な山路に踏み込み、急な斜面をただただ高みへと登り続けます。程なく展望のよい小尾根に登りつき、ここからはしばらく「楽な」巻き道を辿って沢に出るはずでした。しかし、斜面を切り取ったような巻き道は、随所で路肩が崩れ、とても歩きにくい状態になっていました。

 やがて、前方に何やら土埃が漂っているのが見えてきました。何だろうと思いながら傍に寄ると、なんと完全に道は土砂崩れで崩壊し、斜面の上方から間断なくさらさらと土砂が崩れ落ちているのです。時々小さな石もころころと落ちてきます。土埃の正体はこれでした。しかし、ここは混乱した交通機関という妨害をもはねのけて集った仲間達、土砂の流れの隙をみて木につかまりながら対岸へと無事に渡ったのでした。
 「地獄谷」という恐ろしげな名前の沢にでたところで小休止し、さぁあとはぐんぐん登りますよと、頂上目指して出発すると、その先に本当の地獄が待っていました。たいした積雪ではないのですが、完全に登山道が凍りつき、スケートリンク状態。しかも滑って落ちたらただでは済まなそうな急斜面。なのに、のんびりした係の準備不足で、ほとんどの参加者はアイゼン不携帯。氷の上をおそるおそる渡ったり、足を乗せるそばから崩れ落ちるような急斜面を高巻いたり、何とか前へと進みます。落ちたらやばいという係の心配もよそに、強者達は自己の判断で次々と難関を突破し、頂上へと迫っていきます。やがて、日当たりのよい三峰口への稜線にでて、やっと少し気分が楽になりました。

 本部会員参加者の多くは、熊倉山が久恋の頂、という人たちで、その熱意に係も引っ張られて追従していくような有様でした。頂稜も所々に滑ったらやばいところがありましたが、ようやく午後2時、熊倉山の頂上に到着しました。
 下山は予定を変更して、城山コースを下り、白久駅におりることにしました。城山コースなら日当たりが良いので、雪が少ないだろうことと、清雲寺のしだれ桜はまだ咲いていないことが明白だったためです。
 雪は少ないだろうとはいえ、それなりの覚悟をして下り始めます。案の定、急斜面が氷の斜面と化し、滑って尻餅をつく人が続出するものの、登りの道に比べたら遥かに短い時間で雪は消え、やっと普通の登山道になりました。ともかくひとりも怪我が無く、安心な道まで下りられたことに感謝です。
 城山への尾根は、一部細い岩稜になっていたりで、楽しい道でした。やがて林道が見えてきて、本当に心から安心しました。さあ、あとは舗装された林道を小一時間歩いて、駅へ向かうだけです。

(係 O 記)